ご相談者様の状況

「父が亡くなったので、相続手続きをお願いします。」という依頼からこの話は始まりました。当社の母体である司法書士法人に、お問い合わせをいただいたのです。通常はご自宅土地建物の相続登記を申請し、預貯金の解約手続きをお客様の代わりに行って業務が終了するというパターンなのですが、その方のケースはちょっと違いました。不動産が自宅だけではない、というのです。
お客様いわく「実は、飛騨の山中にも父名義の土地があります。持っていても仕方がないので処分したいのです。」とのことです。さっそく当社がお手伝いすることとなりました。

まずはお客様にお会いして、詳しい話を聞かせてもらいました。すると

不動産の状況

  1. 相続人はお客様お一人。自分の意思で自由に処分ができる。
  2. 現地は見たこともなければ行ったこともない。そもそも地図を見ても、どこが持ち物なのかが特定できない。
  3. 現地に行こうにも、そこに至るまでの道がない。

ということでした。要するに岐阜の山中奥深くに物件があり、けもの道すらなく境界もはっきりしない土地を処分したいということなのです。
まずは登記簿を閲覧し、公図を取得してみました。登記簿上の面積は1,000㎡をはるかに超えるたいへんに大きいものです。しかし物件周辺の地図を見るとまるで山の中、これでは確かに現地の確認なんてできそうもありません。境界を確定しようにも、この面積に加えて山中という条件を考えると、相当な費用がかかってしまうでしょう。いったいこの物件をどんな人が買うのか、ちょっと考えつきませんでした。

えん道エステート担当者の対応

よく「売れない不動産はない」と言います。どんな物件でも買いたいという方がお一人でもいれば、取引が成立する余地はあるわけです。問題はその方に、どのようにたどり着くかということです。通常の戸建てやマンションなら、インターネットやチラシを使って宣伝広告をするのが手っ取り早いのですが、今回は物が物だけにそういう手段は取れません。木を伐採する目的で森林を買う業者もいるようでしたが、この物件には条件が合わず、うまくマッチングできませんでした。

しかし、必死に情報を集めた結果、数は少ないもののこうした不動産を専門に引き取る業者も存在することが分かりました。そこでそのうちの一社に問い合わせをしてみたところ、「条件が合えば引き取るが、持ち主の方からは引き取り料金をお支払いいただく。」という回答がありました。
そこでお客様には、現状では購入見込み客を期待するのが相当に難しいことをご説明し、お金の支払いが必要となるが条件が合えば引き取ってくれる業者があることを説明しました。お客様もこの物件を持ち続けることを重荷に感じておられたようで、「そういうことならお任せしますので、その業者と折衝してください。」という返事をいただくことができました。

余計な負担なく売却成功

そこで当社と、引き取ってくれる業者とで折衝を重ねた結果、物件そのものは売買代金1,000円にて売却することとし、お客様からは別途引き取り料金を業者に支払うことで合意ができました。ちなみに契約不適合責任(物件に問題があった場合に、売主が問題を解決する義務を負うことです。)は免除となり、境界確定・明示も不要となりましたので、お客様にとって余計な負担を背負うことがなく売買できました。
お客様のご負担は、業者へのお支払いと森林組合への届出ということになりましたが、それでも「ようやく肩の荷がおりました。ありがとうございました。」というお言葉を頂戴することができました。

よく「負動産」ということを言う人がいますが、使い道のない不動産を持ち続けることは本当に負担に感じるものです。今回は費用こそ発生しましたが、お客様の課題を解決することができたことで喜んでいただき、当社としても嬉しい結果となりました。